暑っついですね。
まだまだ行ける気はするんですが、いきなりの雨は勘弁してほしいです、スタッフAです。

それはさておき、
今回は、トイレの洗浄方式についてTOTOとLIXIL、Panasonicと代表的なメーカー各3社の方式を細かくご紹介させていただきます。
「これを知ることによって何かあるのか?」と言われれば、正直な所イチスタッフの意見として何も無いと思っていますが、「へ~技術の進化ってすごいのね」と受け止めていただけますと幸いです。


TOTOやLIXIL(旧:INAX)の洗浄方式

・洗い落し式(あらいおとししき)

水の落差による上から下に水を流す作用で汚物を押し流す方式で最も構造がシンプルな便器です。水が溜まる面が狭いため、ボウル内の乾燥面に汚物が付着しやすく、洗浄時に多少水はねが発生することがあります。音も大きいです。
写真では分かりにくいかと思いますが、コップに水を入れて水を入れ続けると溢れますよね?その溢れ先をうまいこと排水口に向けてるのが、この「洗い落とし式」になります。

*便器に水が溜まっている面=留水面(りゅうすいめん)について

普段トイレをお使いで、

・「何か嫌なニオイがする。便器は古いがこまめに掃除もしてるし清潔にしているつもりだ」

・「便器の水面が全然無い、もしくは低すぎて何か隙間が見える」

そんな時はこの「留水面」を一度お疑い下さい。

通常、下水と繋がっている排水管から臭いが上がってこないのは、排水管のニオイをこの「留水面」が水でフタの役割もしてくれているためなのですが、留水面自体が低過ぎることによって隙間ができ、その隙間から下水の臭いが上がってきているのかもしれません。

「古い便器」「ニオイ」と気になりましたら、新しい便器にするだけで解消するケースが大半ですのでお気軽にご相談下さい。

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・サイホン式

こちらは、下記の動画をご覧ください。

*日本機械学会 流体工学部門より引用

上から下へ透明な管を繋ぐと、見る見ると洗面器へ水が流れていきます。
便器から排水管までを密封することによってこういった作用が起き、水が流れていきます。
改めて見ましたが、不思議な作用ですよね。
スタッフAは冒頭に「これを知ることにより何もありません」と案内させていただきましたが、意外とこれは夏休みの自由研究ネタに使えるかもしれません。
*現在もリフォレやアメージュフチレス等、LIXILで主流の方式です。

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・セミサイホン式/TOTO

水たまり面(溜水面)はサイホン式と洗い落とし式のちょうど中間にあたるもので、水量自体も抑えられています。

サイホン式と比べると、水量自体は抑えられる反面、水が少なくなる分便器自体に汚れがつきやすくなります。

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・サイホンゼット式

その名の通り、サイホン式をベースとしているのですが、それにゼット穴というものが付いているものが、
このサイホンゼット式になります。
(便器上/フチ裏からの水の流れが3割、ゼット穴からの水の流れが7割の割合になり、先のサイホン式より強力なサイホン作用を引き起こすタイプになります。)

*ゼット穴について

写真の赤枠の部分がゼット穴と呼ばれる部分になります。この穴は既にお気づきの方はご存知かもしれませんが、お掃除が行き届いていない場合ですと、まれに汚れが詰まってしまうこともございますので、ご注意下さいませ。普段お使いの中で「何か、水の流れが悪い気がする」と思ったら、ゼット穴の詰まりかもしれません。

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・ブローアウト式

先のサイホンゼット式と同じく、水流が二つ(上からとゼット穴)ある方式なのですが、
ゼット穴部分からの水流がより強力になっています。
汚物を流すというよりは、「吹き飛ばす」といったものになります。

吹き飛ばすぐらい水流が強力になったことにより、洗浄速度が早くなる一方、
一定以上の水圧が必要なため、フラッシュバルブが必須になります。
*フラッシュバルブとは駅の和式トイレ等でよく見かける銀色の赤外線センサーや洗浄レバーのものです。

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・サイホンボルテックス式

これもまずは動画をご覧下さい。

引用元mybestgoods

ちょうど数字の「6」のように穴が2つあいているかと思いますが、この穴がサイホン効果+渦を起こし、空気を巻き込まないことによって静かめに水を流してくれます。
先の「ゼット穴」とは違い、溜水面の横に大きな穴が開いているのが特徴ですね。
コレぐらい穴が大きければ、「汚れが詰まる」といった面は心配しなくても良さそうに思えます。

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・ネオボルテックス式(LIXIL)/ニューボルテックス式(TOTO)

こちらは先の「洗い落とし式」の改良版で、「洗い落とし」+「渦」といった方式になります。
洗い落とし式より溜水面が広く、洗浄音もやや小さめになっています。

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・ワイドボルテックス式

先のネオボルテックス式とほぼ同じく「洗い落とし」+「渦」といった方式なのですが、
水の流れの最終部分を見ていただくと、壁に向かって流れています。
これは「床上排水」「壁排水」「マンションリフォーム用便器」等、言われるタイプの排水管のものになりますので、
先の3つの単語が出て来たら「あ、この方式なのだな」と思っていただいてほぼ間違いないかと思われます。

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・パワードライブ式/LIXIL

こちらは、LIXILのタンクレストイレ サティスGタイプに採用されている洗浄方式なのですが、
専用のユニット、パワードライブユニットによって圧力を加えて、ゆっくり一定の力で静かにしっかりと流します。
溜水面が(最近のトイレ共通ですが)すごく小さめですね。形も丸+菱型みたいな独特の形ですね。
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・トルネード式・ツイントルネード式/TOTO

こちらは、TOTOのトイレ GG・GG-800・レストパルF・レストパル・ピュアレストEX・ピュアレストQR・ピュアレストMR・CS597・パブリック向けと、
現在発売されている現行品ほぼすべてに採用されている洗浄方式なのですが、便器のフチ裏穴から以前は水を流していたものに対し、
このトルネード洗浄は、上から下へグルグルと渦を巻きながら下へ下へ流し、少ない水で便器内部をすみずみまで洗う方式になります。

ツイントルネード式は、このトルネード洗浄式をベースに溜水面の横に開いている穴、ここからも水を出して縦の渦を作り、
便器上から流れる水の横の流れと先程の縦の流れのダブルの水流を混ぜて流す方式になります。
先にご紹介しました、サイホンゼット式・サイホンボルテックス式のように「穴を開けて水流を調節」というところが、
なんだか似ていますね。

*現在はカタログ等でトルネード洗浄で一括りにされていますが、
TOTO製の現行品で便器内に穴が2つ開いていればトルネード式。穴が3つ開いていればツイントルネード式。
になります。

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・シーケンシャルバルブ式(TOTO)/ダイレクトバルブ式(LIXIL)

タンクから給水するのではなく、水道管より直接給水し、水圧で洗浄する方式(水道直結)になります。
直接給水するので、一度流してからすぐに使用するといった連続使用が可能で、そういう使用が求められる、
駅や商業施設(デパートやモール)等の不特定多数の方が使用される環境が多かったようです。
*ダイレクトバルブ式は現在LIXILのサティスシリーズ(Gタイプは除く)で採用されています。

「洗浄→排水→水溜め」といった3ステップに分けて汚物を排出します。
ただ、水圧で洗浄しますので、設置先の水圧が低いと設置自体が不可能になります。

また、タンクレストイレ全般に共通することですがレバーをひねって水を流すアナログのタイプではなく、電気制御式になりますので、

停電時は非常操作部レバーを手動で引っ張る等、の対応が必要です。

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・ハイブリッドエコロジーシステム(TOTO)

先程の水道直結(直圧)と、便器背部に内蔵したポンプを組み合わせたものが、この洗浄方式になります。
水道直結の水流とポンプから加圧される水(ゼット洗浄)の二つを組み合わせ、
「節水しつつ、強力に洗浄する」という、
まさにecoな方式ですね。

この方式は現在TOTOのタンクレストイレ、
ネオレストハイブリッドシリーズAH・RH・DHに採用されています。

過去の洗い落とし式と比べてみると、すごい進化ですね。
昔はタンクに水を溜めて、上から下に流すだけだったものが、「サイホン作用」と「渦」をプラスし、
最終的には「ポンプ(加圧)」も足して且つ、以前より大幅に節水できているというのが凄いですね。

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・エアドライブ式/LIXIL

こちらは現在は廃盤となったLIXILレジオのみの方式で、パワードライブ方式のような構造に空気量を調節する機構をプラスしたものが、このエアドライブ式になります。排水トラップ(排水管)内の空気を引き上げ、強制的にサイホン現象をおこすことによって、現在のタンクレストイレにありがちだった「排水音」を限りなく小さくしました。水圧を補いつつ、洗浄力も確保し、更に小音とこちらもほんと凄い機構ですね。


Panasonicの洗浄方式

・ターントラップ式/Panasonic

まずはコチラをご覧ください。

*Channel Panasonic – Officialより引用

こちらはPanasonicのアラウーノシリーズのみの独自方式で、排水トラップ(灰色のじゃばら)を上から下へ電動モーターで動かし、排水する方式になります。
先のハイブリッドエコロジーシステムとダイレクトバルブ式と同じ排水工程で、「洗浄→排水→水溜め」と3ステップです。

こうしてみると、現在のタンクレストイレの洗浄方式と洗い落とし式をそのまま進化させて、現在のトイレに標準的な「渦を巻いた便器内の洗浄」に、さらに「泡」を加えた独自のトイレだなと思えます。

*その他にはアラウーノシリーズは素材が有機ガラス素材で陶器ではない素材です。


今回は、洗い落とし式から始まり、現在採用されている洗浄方式までババっとご紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか?
横文字がすごく多いので、「何言うてるか分からんわ」と思っていただかないようになるべく分かりやすいようにご紹介させていただきましたが、
もし「OOO~の部分が分からない」「その説明はちょっと違う」等、お声をいただけましたら即座に反映させていただきますので、お気軽にお声掛け下さいませ。

以上、トイレの洗浄方式についてでした。


画像引用先

*TOTOティトビット

*LIXIL イイナビ

*いんてりあ図鑑

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