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「気づくとトイレの床が水浸し」「便器と床のつなぎ目からじわじわ水がにじむ」など、トイレ床の水漏れの原因と直し方、業者を呼ぶべきケースを解説します。便器交換のタイミングや、交換したほうがよい症状もお伝えしているので、ぜひ参考にしてください。
目次
トイレの床が水浸しになる原因はさまざまです。その中でも、まずは水漏れではないケースについて解説します。
梅雨の時期や冬の時期など、1年のうちでもたまに(特定の時期だけ)水浸しになるという場合は、単純に結露が原因かもしれません。トイレ室内と室外との温度差によって便器やタンク、給水管などに結露が発生し、床に垂れただけということも考えられます。
座っておしっこをする男性がいるご家庭で発生しやすいのが尿もれです。座ると尿はねしにくいので掃除も楽ですが、勢いがあると便器の外へ飛び散ったり垂れたりすることがあります。床が黄色っぽくアンモニアのような臭いがする液体で濡れている場合、尿が原因かもしれません。
トイレの床が濡れる原因が結露でも尿でもない場合、水漏れが疑われます。原因を特定する前にしておくことを解説します。
止水栓はトイレタンクなどへの給水を制御する部品です。トイレの床や壁、給水管の結合部分などに取り付けられています。マイナスドライバーを差し込んで回すタイプや、少ないですが蛇口のようにハンドルを回すタイプがあります。
まずは止水栓を閉めて給水をストップさせましょう。あとで止水栓を開くときに、開きが不十分だとトイレタンクに水が貯まる時間が長くなるため、「閉める前と同じ位置まで開く」ことが大切です。閉めるときに何回まわしたか覚えておきましょう。
止水栓を閉めたら、今すでに濡れている床などを雑巾で拭き取ります。汚水など悪臭がする液体だったときは、雑巾をそのまま廃棄できるようにごみ袋を用意しておくのがおすすめです。
また液体が汚水だった場合は、「汚水でトイレの床が汚れたときはアルコールで除菌掃除を」を参考に掃除をしておきましょう。
ここまで済んだら水漏れしているかどうかを確認します。主なチェック箇所は次の部分です。
このどこかで水がにじんでくるという場合は、水漏れしているかもしれません。詳しい原因や対処方法はこのあと解説します。
トイレ床の水漏れの原因を解説していきます。まずはトイレの「床と便器のつなぎ目」がじわじわと濡れてくる場合の原因から見ていきましょう。
便器は耐久性に優れた陶器製ですが、強い衝撃を与えたり硬い物をぶつけたりすると、破損やひび割れを起こします。「便器やタンクが破損・ひび割れしたときは交換が必要」で詳しく説明いたしますが、交換が必要です。
便器を買い替えたばかりなのに水漏れがするという場合は、施工不良かもしれません。後述する排水管の破損・劣化という可能性もありますが、設置工事の際に排水管を確認して問題なかったという場合は、施工不良を疑いましょう。対処方法は「
便器を設置したときの施工不良」で説明しています。
古い建物の場合、設備も劣化している可能性があります。トイレの床下にある排水管が破損・ひび割れしていると、汚水がじんわりにじんでくることがあります。茶色く濁っていたり悪臭がしたりする場合は、床下の排水管が原因かもしれません。対処方法は「床下の排水管が破損している」で説明しています。
続いて床と便器のつなぎ目ではなく、少し離れた便器まわりの床が濡れる場合の、水漏れの原因を解説します。
水道管からトイレタンクまたは温水洗浄便座につながっている給水管からポタポタ水漏れする場合は、パッキンの劣化または給水管の破損などが考えられます。給水管が破損したときは業者に修理を依頼するしかありませんが、パッキンの交換は自分でできる場合もあります。詳しくは「給水管のパッキンを交換する」をご覧ください。
温水洗浄便座から水漏れがする場合は、給水管の接続不備や破損、あるいはパッキンの劣化、バルブユニットの劣化などが考えられます。また本体に搭載されている貯水(貯湯)タンクが破損しているかもしれません。対処方法については「温水洗浄便座が故障している」で解説しています。
続いてトイレタンクの下あたりの床が、透明な液体で濡れる場合の水漏れの原因について解説します。
給水管の接続部分などからポタポタ垂れている場合、接続不備やパッキンの劣化などが考えられます。給水管自体からポタポタ垂れるときは破損かもしれません。対処方法は「トイレの床が水漏れで水浸しのときに自分で直す方法」で説明しています。
トイレタンクの多くも便器と同じ陶器製(一部、樹脂製)です。やはり強い衝撃を与えたり、硬い物をぶつけたりした場合、破損やひび割れを起こして水漏れすることがあります。交換が必要になるため、詳しくは「便器やタンクが破損・ひび割れしたときは交換が必要」をご確認ください。
タンク内にはさまざまな部品が使われています。たとえば「ボールタップ」や「浮き玉」と呼ばれる部品が破損したり故障したりすると、給水管からタンクへの給水がストップせず、水が漏れて(溢れて)タンク下の床が水浸しになることがあります。
また、「オーバーフロー管」と呼ばれる部品にゴミが詰まるなどして正常に機能しなくなると、同じように給水が止まらずタンクから水が漏れて(溢れて)、床が水浸しになることがあります。
タンクと便器をつなぐ「密結パッキン」が劣化した場合も、じわじわと床に水が漏れることがあります。この場合は、タンクと便器のつなぎ目付近も濡れているはずなので気づきやすいかもしれません。
フタの下に樹脂製のカバーがついているタンクをお使いの方は、フタの下にパッキンのような「整流スポンジ」が付いていることがあるため、そちらも確認しましょう。整流スポンジが潰れたり外れたりしていると、手を洗ったあとの水がタンク内へ流れず、フタの側面などから床に垂れてしまうことがあります。
それぞれ対処方法については「タンクのパッキンや内部の部品が劣化・故障している」で説明しています。
トイレの水漏れは、自分で直せるケースが限られています。たとえば次のような場合は自分で修理が可能ですが、不慣れな人が直そうとすると悪化させてしまうので、無理せずはじめから業者を呼ぶことも考えましょう。
給水管とタンクの接続部分などに使われているパッキンを交換する方法です。先に、交換用のパッキンを買っておく必要があります。またナットを緩めると水が垂れてくるので、バスタオルやバケツを用意しておきましょう。
どんなパッキンを買えばよいかわからない人は、ご家庭にあるトイレまたは住宅設備の取扱説明書をチェックしてみてください。取扱説明書を見てもわからなければ、手順「3」で外したパッキンをホームセンターなどに持っていくとよいでしょう。
給水管と、タンクや温水洗浄便座などの接続部分のナットが緩んでいるだけという場合は、モンキーレンチを用意して締め直せば水漏れが止まるはずです。締め直しても水漏れする場合はパッキンが劣化しているかもしれないので、上で説明した手順でパッキンを交換しましょう。
それでも水漏れが続く場合は、排水管に問題があると考えられます。業者を呼んで点検してもらいましょう。
液体が汚水だったときは、拭き取っても雑菌が残ってしまいます。衛生上よくないですし、床が傷むことも考えられるため、アルコール除菌スプレーを吹きかけて、キレイな雑巾で拭き取るなどして除菌しておきましょう。
アルコールが使えない素材だったときは住居用の中性洗剤がおすすめです。水拭きをしたあとは、トイレのドアを開けてサーキュレーターで風を当てるなどし、できるだけ早く乾燥させましょう。
トイレの水漏れがパッキンの劣化やナットの緩みといった簡単な原因でない限り、業者に見てもらうことをおすすめします。
原因がわからないときは最初から業者に見てもらいましょう。放置しても悪化してしまいますし、あれこれ自分でいじってしまうと元に戻せなくなる可能性もあります。まずは点検をお願いして、修理が必要なときは見積もりを出してもらってから判断しましょう。
パッキンを交換したりナットを締め直したりしたものの、それでも頻繁に水漏れが発生する場合は業者を呼びましょう。別の場所で不具合が起こっていることが考えられるためです。
新築またはリフォームして間もない場合、施工不良の可能性も考えられます。この場合は設置し直したり、排水管を交換したりする必要がありますので、まずは施工業者に状況を伝えて見てもらいましょう。工事保証の期間内かつ補償対象のトラブルでしたら無償で修理できる可能性もあります。
床下の排水管の老朽化による破損(ひび)、または便器と床下の排水管をつなぐパーツ(フランジ、パテなど)の劣化・破損などが原因で水漏れしている場合、自分では直せません。「便器と床のつなぎ目からじわじわ水漏れしているが、便器に破損が見られない」など原因が特定できないケースは業者に点検を依頼してください。
給水管の接続不備(ナットを締めれば直る程度)やパッキンの交換などは自分でできる可能性もありますが、それ以外のトラブルについては、電化製品のためメーカーまたは業者に点検・修理を依頼しましょう。感電や故障などの危険もあるので、自分では絶対に分解しないように注意してください。10年以上お使いの場合は、便座自体の交換を検討されることをお勧めします。
いずれも自分で交換できないことはありませんが、確実に元通りにしなければならないことや、適合するパーツを使用する必要があることなどから難易度が高い作業です。密結パッキンにおいては、タンクの取り外しも必要になるなど特に大変なので、お金はかかりますが業者を呼んだほうが早くて確実です。
なお整流スポンジに関しては自分で交換できる可能性があります。TOTOでは修理方法を公開していますので、自分で直したい方は参考にしてみてください。
※参考: 整流スポンジを交換します _ 修理 _ お客様サポート _ TOTO株式会社
「自分でナットを締め直したりパッキンを交換したりしたけど、気づくと床が水浸しになっている」という場合、ほかにも水漏れの原因があると考えられます。業者を呼んで点検・修理を依頼しましょう。
一方、自己所有のマンションやアパートなど、集合住宅のトイレで発生した水漏れの場合は速やかに業者を呼ぶことをおすすめします(賃貸の場合は大家や管理会社と相談してください)。
集合住宅の2階以上にお住まいの場合、床の水漏れを放置すると階下に被害が及ぶおそれがあります。階下の天井が濡れたり家財道具が濡れたりした場合、こちら側の過失となり損害賠償を請求される可能性も。集合住宅のトイレ床が水浸しで水漏れの原因がわからないという場合は、直ちに業者に連絡しましょう。
また業者が来るまでの間に、「止水栓を閉める」「濡れている箇所を拭く」といった応急処置をしておきましょう。可能であれば、拭き取る前に水漏れの状態を写真に収めておくと良いかもしれません。
「便器は一生使える」と思うかもしれません。確かに陶器は長く使えますが、毎日何度も使用する便器はさまざまな部分が劣化していきます。気がつくとトイレの床が水浸しになる、水漏れがたびたび起こるという場合、原因は便器そのものの寿命かもしれません。
一般的に、便器の寿命は10〜20年といわれています。陶器製の便器はまだまだ十分使える年数かもしれませんが、10年をひとつの目安にするとよいでしょう。
その理由として
とされていることが挙げられます。また10年も使用していると、便器本体に傷が増えて汚れが落ちにくくなる(結果として悪臭・カビが発生する)、黄ばみが目立つようになるなど、さまざまな問題が生じてきます。10年もすればより節水性や省エネ性に優れた便器が登場しているはずなので、長く使うことを考えればコスパの面でもお得です。
10年程度使用している便器で水漏れが発生する場合は寿命と考えて、また水道代や電気代の節約にもなると考えて、交換することをおすすめします。
10〜20年も使用していない便器であっても、トイレの床が頻繁に水浸しになる、水漏れがたびたび発生するという場合は便器交換を考えるタイミングかもしれません。
便器やタンクが破損・ひび割れを起こしている場合は交換が必要です。補修用パテなどもありますが、破損やひび割れを根本から直せるわけではないため、いつ水漏れが再発するかわかりません。ひび割れが広がれば一気に割れてより大きな被害をもたらすこともあります。破損・ひび割れが確認できる便器はできるだけ早く交換してください。
こちらは一例ですが、このような症状が出てきたら便器交換のタイミングと思ってください。たとえば、汚れがこびりついて落ちないのは、便器表面に細かな傷が増えて、そこに汚れが深く入り込んでしまうためです。雑菌が繁殖し、カビが生えたり悪臭の原因になったりします。トイレは家族が毎日何度も使用する場所なので、少しでも快適で落ち着いた環境、衛生的な環境であることが大切です。
仮に、破損(ひび)や劣化が見られる便器を使い続けた場合、どのようなデメリットやリスクが考えられるのでしょうか?交換するかどうかの判断をする基準にもなりますので、ぜひ覚えておいてください。
水漏れが発生すればその分だけ水道代が高くなります。また破損や劣化が見られなくても、10年や20年など長く使っている便器は最近のものと比べて洗浄水量が多く、温水洗浄便座の消費電力も多いため水道代や電気代がかさんでしまいます。
破損した箇所から水漏れが発生したり、大小の洗浄水量が切り替わらなくなったりなど、小さな不具合が起こりやすくなります。その度に修理をしていると費用がかさんでしまいます。
また床が水浸しになるほどの水漏れが繰り返し発生すると、床が腐ってしまう場合があります。そうなると床の補修など想定外の費用がかかることも考えられます。
各メーカーは修理用の部品を一定期間保有しています。たとえばTOTOなら製造終了から7年です。この期間を過ぎて故障した場合、代替部品が用意できなければ修理できませんので、まるごと交換しなければならなくなる可能性があります。
賃貸にお住まいで、たびたび水漏れが起こっていることを把握していながら、大家や管理会社に連絡せず使い続けた結果、床が腐るなどすれば退去時の補修費用を請求されるかもしれません。
またマンションなどの集合住宅で階下に被害が及んだ場合、過失が認められれば損害賠償問題に発展するリスクもあります。
破損や劣化が見られる便器を使い続けた場合、このようにさまざまなデメリットやリスクが想定されます。
破損やひび割れはもちろんですが、それ以外にも経年劣化など便器に原因があって水漏れしているという場合は、ぜひお早めに便器の交換をご検討ください。
10〜20年経つと水回りも老朽化してきます。水回りのリフォームついでに便器交換をしておくと、それぞれ別々に工事をするよりも費用を抑えられます。
また近年のトイレは、節水性能や省エネ性能に優れており、汚れがつきにくいコーティングが施されていたり、ボタンやレバーに触れずに便ふたが開いたり便器洗浄したりするオートメーション機能なども搭載しています。
今お使いの便器や、交換後の便器にもよりますが、トイレメーカーによる試算では年間10,000円以上も水道代を節約できたり、年間8,000円以上電気代を節約できたりする可能性もあります。
トイレ床が水浸しになる、水漏れの症状に困っているという方はぜひ、この機会に便器交換をご検討ください。